スパイシーな彼~あなたとの甘く優しい瞬間

母と入れ替わりに父が上がってきた。


「ママから聞いたよ。晴香ショックが大きすぎたんだな。全くあの男!絶対に俺は許さない!憲吾悪いな~晴香守ってやってくれな…」


父の目に薄っすら涙がにじんだのを憲吾は見ていた。


「大丈夫ですよ!晴香、すぐに元気になりますって!」


「ありがとう…憲吾」


「気にしないで行って来てください。俺ついてますから」


「じゃ頼むな」


ドアも音がしないように、静かに閉める。


憲吾にも全く想像もしていなかった出来事だった。


ケガも大変だったが、それよりも晴香の心の中がいっぱいになって、精神的に参っていたのだ。


晴香が静かに目を開けた。


「晴香…落ち着いたかい?」


「あたし、音が怖いの…さっき憲吾が二階に上がってくる足音を聞いた時に、ドキドキしてきて、ヌイグルミが落ちた瞬間に頭の中で何かが破裂してような感じになって…」


話してるだけで呼吸が荒くなっているのがわかった。