スパイシーな彼~あなたとの甘く優しい瞬間

誰かが、二階に上がってくる音がしていた。


ドアから入ってきたのは憲吾。


祐輝がくるはずはないのに、人の足音などにドキドキするのは何故?


「目覚めていたんだね。痛みはどう?」


「薬きいてるのか、動かさないとそうでもないよ」


「ご飯少し食べよう。世利ちゃん今楽しそうに遊んでるから、ママの顔みせないほうがいいかもって、ご飯持ってきたよ。一緒に食べよう~」


「あんまり食欲ないな…」


「でもね、薬飲むから、少し食べないと胃をやられるって、晴香ママ言ってたよ」


「うん…」


「じゃあ!俺も食べない~晴香と一緒じゃないと食べない~」


「えっ!いいよ。憲吾は食べて…」


「俺もまだ腹すいてないから、もう少ししたら一緒に食べよう…」


何かの加減で、晴香の横の棚に飾ってあったヌイグルミが、ポトッと落ちた。


「キャー!」