「晴香、吐き気とかはないかい？」


「うん…ないよ」


「このあいだより、痛みは？」


「動かさないと大丈夫みたい」


「きっと捻挫したかもしれないね。全く痛い思いばっかりして、可哀想にな～」


「でも、考えてみたら、世利が一番可哀想だよね。抱いてほしくても、あたしは抱いてもやれないし、こんな状態でほっとかれて…」


「今はしょうがないよ。早く治そうね、世利ちゃんのためにも」


「うん…少し眠くなってきた～」


「薬効いてきたのかな…俺いるから、安心して寝なさい」


「ありがとう…」


晴香は眠気もあって、気がついてない様子だが、下の部屋で父と多分祐輝の母親が話しついる…


あんなふうに激しく声をあらげて話す晴香の父を見たり聞いたりしたことがない…娘を思う、父親の愛情というのは、計り知れないものだと憲吾は感じている。