唇からの出血は、少し切れただけで止まっていた。


でも、手首の色の変わりかたから見ると、捻挫か、また骨にいってるかもしれない。


「晴香…俺連れて行くから、病院行こう。また病んで眠れないって…」


「お願い…少し横にさせて。何だかめまいがするの…」


母は世利が起きてくることも考えて、二階に布団をひきに行った。


いつもは優しい父の顔から笑顔はなくなっていた。


娘をこんなふうにされて、祐輝への怒りは最高になっていた。


「憲吾…悪いんだけど、しばらく晴香の傍にいてやってくれないか？」


「はい…様子見てダメなら病院連れて行くので調べておいて下さい」


「すまないな…」


母と憲吾に支えられて、晴香は二階に行った。


「里美ちゃん、春樹君、せっかく来てくれたのに申し訳なかったね～今日は何もしてあげられないが、また来てやってな～」