「でも、母親もいるし…帰ってもらわないと…」


「お母さんには、こちらから電話を入れるから。とにかく帰ってくれ」


祐輝は黙って立ち上がると、居間に入ることなく、車に乗って帰って行った。


憲吾が飛んできた。


「晴香!大丈夫かい…指またぶつけたんだね、病院に行こう…」


右手をおさえている場所が違うのを母は気にしていた。


よく見ると、手首が紫色に変わってきている。


下の部屋に連れて行くと、ちょうど春樹が戻ってきていて、里美から話しを聞いていた。


晴香の可哀想な姿を見て、春樹も怒っていた。


「どうしようかね…今日は休日だし、病院やってるところ、近所にないよね~」


「大丈夫ママ…明日病院だし、痛み止め飲ませて。冷やしてみるから」