「憲吾待ちなさい。ここだけは、憲吾が入れる領域ではないよ。形だけでも、晴香と祐輝君は夫婦。どれだけ愛し合っていたとしても、今は二人の関係に憲吾が入っていくのは、許されないよ。わかるな憲吾…」


「ほら、お菓子でも食べて、春樹君、戻ってくるんでしょう。こんな状況だけど、憲吾も落ち着かないみたいだし、ゆっくりしていってね」


ドタッ！


二階で何かが倒れる音がした。


真っ先に駆けつけたのは、晴香の父…憲吾が行こうとしたのを、母が止めた。


「どうしたんだ！祐輝君！何の音だ！」


晴香が転んだような恰好になっていて、右手を押さえながら泣いていた。


後から晴香の静止を振り切って上がってきた憲吾が様子を見て、祐輝に殴りかかった…


父が止める間もなく、憲吾のコブシは、祐輝の顔面を殴っていた。