憲吾も同じだった。


晴香を家に帰す時に、いつも晴香をこのまま離したくない…そう思って苦しくなっていた。


そして同時に…


どれだけ嫌な人だと言っても、晴香には家庭があって、紙切れ1枚でつながっていても、祐輝とは夫婦…自分達は愛し合っていても、不倫な関係に間違いはなかった。


「晴香、かゆいところないかい?」


「大丈夫~」


シャワーをかけながら、濡らさないように、ずっとあげている包帯に巻かれた指を見ていると、憲吾は涙が出てきた。


晴香の指は、長くてしなやかで、爪の形もとても綺麗で、憲吾はいつも眺めていたのを思い出す。


そんな晴香の指に巻かれた包帯が痛々しく、切なくなっている…


顔も洗って…


タオルで髪を巻いてあげると、晴香は憲吾が泣き顔になっているのに気がついた。