憲吾のやることは、スパイスのように、どんなふうにでも、相手の気持ちを変化させる。


自分だけではなく、周りの人の気持ちも、自分で上手にスパイスを調合しながら、上手に気持ちを作っていく。


晴香は、そんな憲吾の優しいスパイスが、大好きだった…


「よし、お許しも出たし、今日は晴香をゆっくり風呂に入れてあげるか~」


「えっ~仕事中でしょ」


「今日は、社長は会社戻らないで、そのまま帰るって言ってきてあるから、大丈夫」


何だか嬉しかった…


憲吾が自分のために、一緒にいてくれることが…忙しいはずなのに…


「いつもの所で、弁当買うか~」


「うん~」


何の迷いも、いやらしい感情もなく、ただ憲吾とフタリでいられることが嬉しかった…


憲吾も、ただ晴香を喜ばせてあげたい…そんな感情で、フタリの時間を作ってあげたかった。


今はまだ、人目を気にしなくてはいけないフタリだから…