カメラを構えていた、晴香の父と、祐輝の父親が世利の半泣きになった顔を写真を取りながらあやしていた。


一瞬手を離して、尻もちをついた世利に、親達は歓声の声をあげる…驚いた世利は泣き出し、1歳恒例行事は、親の満足で終了する。


その様子を、祐輝と晴香は無言のまま見つめていた。


我が子の成長に感動して迎えたかった、結婚前の晴香の喜びの気持ちは、ただ時の流れの中で自分だけの感動としては見てきたものの、夫婦で喜び合う瞬間を全く感じずに、この日を迎えた。


世利にケガをさせたこと、自分が骨折したことも、生涯忘れることはないだろう…


痛みと憎しみは、心に残って消えることはない…晴香は思っていた。