父親と世利が遊んでいる声がする…


遠くで揚げ物をする音。


静かに目を開けると、世利が不思議そうな顔で覗き込んでいた。


目を開けた晴香に気がつくと、笑顔で一緒に横に寝てきた。


あれだけ痛かったのが嘘のように痛みはひいている。


「大丈夫かい晴香?事情はママから聞いたから、心配しないでしばらくうちにいなさい」


「晴香~さっき憲吾から電話きて、もうすぐでうちに着くって。心配だから様子見に来るって…それに比べて、祐輝さんからは、電話もないわ」


起き上がってみた。


痛みは少なくなっている。


昨日まで考えるのも嫌だった色々なことが、少しずつよみがえってきて、明日が世利の誕生日で、義親が来ること…この指をどう説明したらいいのかを、考えていた。


ピンポン~


「はい!」


母が出迎えると憲吾が入ってきた。