憲吾は小さくちぎったサンドイッチを、晴香の口に入れてあげた。


自分が食べるのは後回しにして、晴香の世話をしている憲吾…


またこれから、現実に引き戻される晴香…


あと数時間で、憲吾と離れることになるのが里美が見ていても切なかった。


「ちょっと近くの店で買い物してくるね。何かいるものある?歯ブラシは洗面所の下にあるの使って…」


里美が今二人にしてあげられること…


ほんの少しの二人の時間。


里美が出て行って、歯磨きをする。


右手の使えない晴香は、左手でぎこちなく磨いていた。


「貸してごらん、口開けて…」


これも小さな頃、憲吾が習慣だったこと…晴香が遊びながら、磨かないのをみて、憲吾がやってあげていた…


「いいよ、晴香ゆすいで…」