「晴香、よかったかなこれで?」


「うん、ありがとう」


「憲吾、会社本当に大丈夫?私一人でも送って行けるよ」


「いや、着いて行くよ。晴香このままで帰ったら、心配で仕事にならないから」


「わかった…じゃあご飯食べようか。サンドイッチとかだけど、晴香食べられる?」


「少しなら…」


顔を洗うことさえ今はできない晴香を、憲吾は濡れたタオルで優しくふいて、乱れた髪を整えてくれている。


思わず里美が


「ね~晴香…どうしても嫌なら、別れちゃいなよ。憲吾にもらってもらいな~」


「里美ったら…簡単に言うね。そんなに簡単にできるなら、私だって…」


晴香の瞳に涙が溢れた。


「里美…泣かすなよ~いいから。今は何にも考えるな。とにかく、先のことはゆっくり考えてな…」


「ごめん…晴香…」