「夫に叩かれて…突き飛ばされて…階段にぶつけました…」


「御主人の暴力ですか…どうしますか?警察に入ってもらう事も可能ですが…」


「いいえ…いいです」


「彼女の様子は、カルテとかには残ってるんですよね!本人も今動揺してるので~私が証人で聞いてるし、まずは書いて残しておいてもらえますか?」


里美は、廊下に聞こえるように、わざと大きめの声で言った。


廊下では、憲吾が挨拶だけしていた。


「晴香の友人です…」


とだけ…


祐輝は、頭を軽く下げたきり、何も言わず中の様子を伺っている。


憲吾の頭の中では、祐輝の行動を聞いて、襟首をつかんで、ぶん殴りたい気持ちだった。


大切な晴香を傷つけた男…夫であっても許せない気持ちでいる。


中で晴香が処置してもらっていると、里美が出てきて


「祐輝さん!何でこんなことになったの!指折れてるって。何で突き飛ばしたりしたの!」


と怒って叫んだ。


病院の廊下だというのも忘れて…