診察室に入る。


里美がついてきてくれた。


「指見せて…」


優しそうな先生だった。


「う~ん…これは折れてるね。レントゲン撮ろうね」


5分ほどレントゲンを撮ったりして…


「第一関節のところが完全に折れてるね。今ギブスしてあげますね。少しその間話せますか?」


「はい…」


「どうして折れたか原因は?」


最近の病院は、夫との暴力などで、駆け込む女性が多いと、看護師がさっき里美に言っていた。


廊下にいる憲吾にも、中の声は聞こえている。


ちょうどその時、子供の泣き声とともに、受付に男性が子供を抱いて入ってきて


「柴崎ですが…」


受付の人に言われて、こっちに向かってくるのを憲吾は見ていた。


晴香の夫、祐輝だった。


里美もその声に気がつき、外を見ると、ストップ!と手で合図をして、憲吾にお願い…と目配せをした。