スピカ

 少し明るくなった髪の色が、目に染みるほど、眩しい。出来れば、見たくないくらい。

「えっ、知り合いなの?」

「あ……ま、まぁ」

視線が逸れた。
そこで初めて、あたし達が少なくとも5秒以上目を合わせていた事に気づいた。
全身の神経がようやく生き返ってきたのが分かる。力んだ掌が、だんだん汗ばんでいく。

「……元カノ」

そうだ。あたしは、この人の“元”彼女だったのだ。

「えぇっ! こんな美人と付き合ってたの?」

女の子は目を丸め、慌てたように良平の腕を掴んだ。

「どうしてもっと早くアミに教えてくんなかったのよ! 超大人っぽい人じゃん!」

「いや、そんな……元カノの話はするべきじゃねぇかなって」

「元カノが超美人だって事の方がショック受けるよ!」

遠回しに、あたしにブスでいてほしかったと言っているのだろうか。この手の女は、大低、自分の方が可愛いって言ってほしいだけだ。
どっちが可愛いかだとか、あたしにはそんな事どうだっていい。

「悪ぃな。あの……雅。俺と同い年だからお前より1つ上だよ」

「わ、アミでーす。初めましてー」

こんな状況でどういうつもりなのだろう。あたしの存在は好ましくないはずなのに。

会釈を返すも、引き攣った笑いしか出来なくて。言葉を返せなくて。

今度は、視線が逃げようとして、どうしようもない。