文化祭とは言え、人気のないこの場所には、野外ステージの音楽が僅かに届くだけで、ノブごと鉄扉を押すと、微かに古びた金属の音が廊下に響いた。
1本の細い線が力と比例して太くなり、白い光が薄暗い影を浄化していく。
下がった睫毛が完全に上がるまで待たず、あたしは光の中へ足を踏み入れた。
「……屋上?」
楸さんはポカンとした顔であたしを見ている。
屋上には、誰1人いる気配はない。あたし達以外は。
「ドア閉めて」
あたしは視線を返さず、そのままフェンスの方へ足を向けた。
小さく区切られた青白い空と、雨と年月で廃れた校舎が人波を包み込んでいる。
コンタクトを着けていても、さすがに屋上からでは下にいる人を1人1人見分けるのは不可能らしい。あたしのクラスの、派手な衣装だけは見つけられるけど。
「こんな、人気のない所に連れて来るなんて……」
「いいからちょっと黙ってて」
無造作に携帯を開き、慣れた手つきで電話帳を開く。
「はっ! 文化祭だからって、まさかあんな事やそんな事を……!
雅ちゃんったらハレンチだわぁっ!」
「黙れ! 本気で殺すぞ、てめぇ!」
ギロリと睨むも、ヘラヘラ笑うその顔が余計に腹が立つ。
楸さんの冗談は洒落にならないから嫌なんだ。
あたしは爪先をイライラと鳴らしながら、電話相手の応答を待った。
1本の細い線が力と比例して太くなり、白い光が薄暗い影を浄化していく。
下がった睫毛が完全に上がるまで待たず、あたしは光の中へ足を踏み入れた。
「……屋上?」
楸さんはポカンとした顔であたしを見ている。
屋上には、誰1人いる気配はない。あたし達以外は。
「ドア閉めて」
あたしは視線を返さず、そのままフェンスの方へ足を向けた。
小さく区切られた青白い空と、雨と年月で廃れた校舎が人波を包み込んでいる。
コンタクトを着けていても、さすがに屋上からでは下にいる人を1人1人見分けるのは不可能らしい。あたしのクラスの、派手な衣装だけは見つけられるけど。
「こんな、人気のない所に連れて来るなんて……」
「いいからちょっと黙ってて」
無造作に携帯を開き、慣れた手つきで電話帳を開く。
「はっ! 文化祭だからって、まさかあんな事やそんな事を……!
雅ちゃんったらハレンチだわぁっ!」
「黙れ! 本気で殺すぞ、てめぇ!」
ギロリと睨むも、ヘラヘラ笑うその顔が余計に腹が立つ。
楸さんの冗談は洒落にならないから嫌なんだ。
あたしは爪先をイライラと鳴らしながら、電話相手の応答を待った。


