スピカ

「図星だからって、何も蹴らなくたっていいだろ!」

「何が図星だっ! さっきから違うって言ってんでしょ!」

ぶぅ、と口を膨らます20歳の男。
こんな奴があたしより3つも年上?
いやいや、ガキだろ。

「大体、あたしの携帯なんだから誰と電話したっていいじゃん」

「パパが携帯代払ってるんだけどなぁ」

「そういう意味じゃないわ!」

お父さんは口元に皺を寄せて「へぇへぇ」と笑いを零す。競馬の予想でも当たったのだろうか。どこかご機嫌みたいだ。構ってやったらキリがない。

一方では、まだ口を尖らせているのもいる
……かと思いきや、あたしの予想は外れていた。

楸さんを見て、単純に驚いた。

口は固く閉ざされ、その見つめる先は、窓の外に泳いでいる。
黒い光でも帯びていそうなくらい、凍てついた視線が外を突き刺す。
あの眼があたしに向けられる、なんて、絶対に嫌だ。

あたし、きっと……




楸さんから目を外し、あたしは静かに背中を向けた。