骨と金属の固い音が響く。イライラして強く叩いたせいか、少し関節が痛くなった気がした。

「久住さーん」

全く。こんな暑い中、どうしてあたしがこんな事しなくちゃいけないんだ? 意味分かんない。


―ドンドンドン

「いないのー?」

苛立ちのあまり口調もノックも荒々しくなる。だけど、それがあたしの性格だから仕方ない。


「………」

返事なし。

生憎、このボロアパートにはインターホンなんて近代的な機械は備わっていない。
でも、そんな物がなくても中にいれば聞こえているはずだ。中はそんなに広くないのだから。


「くーずーみーさーん!」

ドアを強く蹴ってみるも、反応はない。イライラが募っていく。

何だ、いないのか。全くどこまで迷惑な奴なんだ。
イライラと髪を掻きむしり、引き返そうと気怠い足を動かした。

すると、中から

〜♪〜


…………。




「こぉらっ、ひさぎぃぃーっ!」


激しくドアを殴りつけると、ひぃぃ、と中から小さな悲鳴が聞こえてきた。

「てめぇ、なに居留守使ってんだ、さっさと開けろっ!」

今にも鉄のドアが取れてしまいそう。だけど、そんな事知ったこっちゃない。修理代はコイツが払えばいい。そして、今よりもうんと高いドアを付けてもらえばいい。


「家賃、払えーーっ!」




高3の夏休み、

あたしの毎日はこんな感じ。