仕方ない?
まだ、楸さんに何も答えていないのに。

何も伝えないまま、謝る事も出来ないまま会えなくなるなんて、そんなの嫌だ。


楸さんの事なんて、何1つ見ちゃいなかった。何1つ見ようとしていなかった。


どんな気持ちだったのだろう。

どんな気持ちで胸を貸してくれてた?

どんな気持ちであたしの言葉を聞いてた?


今更になって痛みが染みてくる。じんじん痛んで、感覚さえも鈍らせる。

……辛い。


あたしは、今まで一体何を見てきてたんだろう。

変わらないものなんて、ない。
だけど、楸さんの温もりはいつだって温かかった。

優しさも、温もりも、ついこの前まですぐ傍にあった。


変わっていくのを見ようとせずに、黙って眼を塞いだんだ。だから、不変なんて有り得ないし、掴めない。あたしの中には存在しない。


ずっと傍にある訳じゃないと分かっていても、一線を引こうとしても、それでも、気づかないうちに楸さんを頼り処にしていたんだ。

あたしには、楸さんが必要だった。

必要なんだ。


今更答えが見つかるなんて、もう、遅いのに。