今宵は烏夜らしい。吸い込まれそうなくらいに、空が真っ黒。
聖夜を飾るものは、何もない。
星も、月も、雲も、雪も。
そんなもの、要らないからでしょう? 飾らなくたって、今はこんなにも夜空が綺麗なの。
全てを見守るように、包み込むように。
見透かすように、覆い隠すように。

全部、全部。

まるで――……


静まり返った公園。
いるのはあたし達2人だけみたいだ。状況が良くなったような、更に悪くなったような。

「寒い?」

「ううん」

「そう」

洋君の声が人気のない公園に響く。
「寒い?」だなんて、洋君らしい。普通は「寒くない?」でしょうが。……頷かないあたしもあたしなのだけれど。

あ、と呟き、洋君は上着のポケットをごそごそと探り始めた。
手の動きを止めると、遠くへやっていた眼をこちらへ流し、悪戯っぽく笑う。

「コレ、あげる」

「え、」

ポケットからは小さな箱が。綺麗に包装され、洋君の手の平を余すくらいの大きさ。

これって、まさか……