何だかなぁ。どうしても気分が沈む。
自分の事じゃないのに、2人の別れに恐怖を感じてしまうんだ。

幸せが、永遠のものじゃないって事は百も承知。それでも、やっぱり耳にしたくなかった。


はぁ、と小さな溜め息を零し、手元のシャーペンを回す。1回転すると、シャーペンは元あった位置に戻った。その下には、テスト対策と印刷されたプリントが。
高校生活最後のテストくらい良い点を取らないと、学費を払ってくれているお父さんに悪いかな、なんて思ったり。
だから一応勉強をしてみてはいるものの、あんな事聞いちゃ、集中なんて出来る訳ない。当の本人なら尚更だと思う。
亞未、大丈夫かな……


〜♪〜

携帯のランプが、青く点滅している。電話だ。
かけてきた相手は大体想像がつく。画面に表示された名前は……、ビンゴときた。
あたしは躊躇なく通話ボタンを押した。

「もしもし? 雅ちゃん?」

「洋君。やっぱり」

「やっぱりって何だよ」と小さな笑いが聞こえてくる。どうやら、洋君はいつも通りみたいだ。

息を吐くのを感じ、洋君が話し出すのを待った。

「……聞いた? 悠成達の事」

「別れたらしいね」

「うん……」

悠成君はもう、亞未と別れた事を洋君に言ったんだ。何か、変なの。

「俺もさっき悠成から聞いて、びっくりして……」

「あたしも、びっくりした」

「結構ショックだよなぁ」

洋君も同じように思ってたんだ。
うん、と呟くと、また、洋君が言葉を探し始めたのが分かった。