「潮の香りだ」
 
電車から降りるとすぐに
周ちゃんが
笑って言った。


「本当だねっ」
 
私も同じこと思ってたから
なんだかすっごい
嬉しい気持ち。
 
 
 
並んで歩く周ちゃんと尚哉くんの後に
私と亜未が続く。
 
 
・・・周ちゃんの後ろ姿
見るの初めてだ。
 
 
私より10センチくらい
背高いのかな?
 
少し見上げて
金色の少しいたんだ猫毛を見つめる。
 
 
―触れてみたい
 
なんだかすごく
そお思った。
 
 
男の子にこんなこと思ったことは
初めてで。
 
 
 
どれくらいだろう。
 
周ちゃんの後ろ姿を見つめていたのは。
 
 
ちらっと亜未の方を見たら
じっと私のこと見てる。
 
 
「・・・なに?」
って私が聞いたら
 
何も言わずににやって笑ったから
 
気づかれたんだって
気づいた。
 
 
 
私の心の中に
ちょっと芽を出した
 
この気持ち。