「周大♪」

後ろから声をかけられる。
聞き慣れた、男にしちゃ少し高い声。

いつもよりちょっと弾んでるような気もする。


「おう、尚哉」

振り向くと、そこにはやっぱり見慣れた顔。
目が大きくて、人なつっこい顔だと思う。



尚哉は俺の中学からの友達だ。
高校も同じで、家もすぐ近くにある。

たぶん、俺のことを一番よく知っている友達ではないかと思う。


そんな尚哉を海へ連れて行こうと、美桜のメールを見てすぐに決めた。

[よくしゃべる、元気な人]

俺の周りの人間は、みんなそれなりに明るい奴だとは思うが
尚哉は他とは比べものにならないと思う。


いつも笑ってて
口数が多くて
素直な奴。

俺はそんな尚哉が、少しうらやましかったりするんだよな。


「どんな子だろおな♪
美桜ちゃんと亜未ちゃん」

美桜が連れてくる友達は
"亜未"というらしい。

尚哉にそれを話したら
すぐに"亜未ちゃん"って親しげに呼んだ。


それに・・・
なんで美桜のこと、"美桜ちゃん"なんて呼んでんだよ(怒)

今日来てもらった手前、文句は言えないけど・・・

むかつくっ!


美桜の名前を他の男が呼ぶなんて
・・・許せない(笑)

・・・って、俺は彼氏でもねえのにな。


俺、こんな嫉妬深い奴じゃないのに。

自分じゃないみたいだ。


つか・・・心配なんだよな。

尚哉タラシだから(笑)


まあ、美桜には手を出さないように釘差しといたけど。


亜未ちゃんだって、美桜の友達なんだから・・・
あんまり軽々しく手は出してほしくねえな。