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「んー…」
…今となってはちょっと懐かしい思い出。
綺麗に晴れる空を見上げていると、小さな声と共に、右肩に乗っていた頭がもぞもぞと動いた。
「あ、起きた?雪乃ちゃん」
「…あ、すみません、先輩…。肩借りちゃって…」
うたた寝していた雪乃ちゃんは、眠そうな目をぱちぱちと動かして俺を見る。
いつかと同じようなセリフに、俺は思わずクスッと笑った。
「…帰ろっか?」
一人で笑う俺を不思議そうに見つめる雪乃ちゃんに手を差し出す。
控えめに出された手をギュッと握ると、雪乃ちゃんは少し恥ずかしそうに、
でも、
嬉しそうに、
優しく笑った。

