恋愛相談は校舎裏で

ふと外を見ると、桜の花が綺麗に咲き誇っていた。


なんとなく引き付けられるようにして窓へと近づくと、その桜の木は校舎裏にぽつんと一本だけあって。


そして俺は目を見開いた。



「あの子…」



いたんだ。

桜の木の下の、ベンチに。


淡いピンクの中で、あの黒髪はよく目立つ。


俺は思わず窓を開けて身を乗り出した。


「……っ」



顔が赤くなった気がした。

見開かれていた目は、さらに大きく見開いて。


ドクンッと大きく、胸が高鳴った。



笑ってたんだ。


優しく、ふんわりと。



微笑んでたんだ。