「…夏輝、いつか女に刺されて死ぬんちゃうか…」


「はははっ。不吉なこと言わないでほしいなー?」



恭介は溜め息混じりにそう言うと、教科書を持って立ち上がった。



「あれ?どこ行くの?」


「どこ行くって…次、移動教室やっちゅーねん」


「あっ、そっか」



そう言われてから準備をし始める俺を、恭介は呆れながらも待っていてくれる。


こういうところも、俺が恭介と一緒にいる理由のひとつでもある。


結局俺がのろのろしてたわりには、教室に着いたのは俺らが一番。


恭介は見た目派手だけど、中身は超真面目だからね。


そしてドアを開けようと手を伸ばすと、突然ドアがガラッと開いて。


真っ黒な長い髪をした女の子がのんびりと出てきた。