「夏輝、彼女と別れたんやって?」


「あー…うん。別れよーって言われて」



休み時間の教室。

関西弁で、呆れたように俺を見るのは安西恭介。


恭介とは高校からの付き合い。

一年のときクラスが一緒で、二年でも同じクラスになったせいか、よくこうやってしゃべっている。


なんていうか、気が楽なんだよね。



「別におまえがどうこうしてようが、俺はなんも言う気ないけどな?

真面目に好きになったやつとかおらんのかいな」


「うー…ん、そりゃ可愛い子はいるんだけどね」


今までに何人とも付き合ってきたよ?

でもいくら“可愛い”って思っても、それ以上の気持ちを持てたことはないんだ。


だから付き合っても登下校が一緒だったり、
たまに二人ででかけたりする以外、なんにもしない。

よくても手を繋ぐくらいで、後はそれに満足いかなかった相手が俺を振っておしまい。


ろくな付き合い方をしてないんだ。