両手で顔を覆いながら早足で歩く。


すると、後ろから走ってくる足音と共に、飛びつかれた。



「ひゃっ…!?」


「前見ないと危ないでしょ、雪乃ちゃん。ほら、手どけて」



抱きついてきた夏輝先輩はそう言って私の顔から手をはがす。



…私的に、後ろの方が危ないです。



先輩は手をはがすと、そのまま私の指に自分の指を絡める。


驚いて手を見つめると、先輩は明るく笑いながら手に力をこめた。



「…帰ろっか?」


「……はいっ」