「とにかく無理です。もう暗いし、帰りますよ、先輩」


「えぇー、せっかくやりやすい髪型してるのにーっ」



ぶーっと頬を膨らます夏輝先輩。



(…可愛い…)


…って、そうじゃなくて。



「…先輩がくくってって言ったんじゃないですか」


「だって可愛いし、首筋見えるし…」


「……先輩、変態」



ベンチに座って駄々をこねる先輩を置いて、スタスタと歩く。


…赤くなった顔を見られないように。



(“可愛い”なんて…やっぱり恥ずかしい…)