「……っ…」



俯いて、涙がこぼれそうになるのを必死で我慢する。


すると、先輩の手が私の髪を掬って、落ちてきた髪が私の頬をかすめた。


その手はそのまま私の頬をなで、目に溜まった涙をふき取ると、

ゆっくりと頬を、上へ持ち上げた。



「…雪乃ちゃんの返事は…?」




顔を上げて映った先輩は、やっぱり穏やかに微笑んでいて。


先輩のおかげでクリアになった視界が、再びじわじわと滲んでいく。