「先輩、とりあえず落ち着いてください。」



頬を赤くし、ムスッとしながら叫ぶ先輩の肩を両手で抑えてとりあえず静かにさせる。

先輩はハー、ハーと息を切らしながら私を見た。


「なんにも心配する必要ないですよ。まず私に近づいてくる男の人なんかいませんし」


“雪女”なんて呼ばれてるくらいだし。
男の人どころか、女の子だって近づいてこない。


…もう慣れたし、その方がゆっくりできるからいいんだけどね。



「…いるから!!!」


「…え?」



大きな声に驚いて顔を上げる。

私と目が合うと先輩はハッとした様子で自分の口を手で覆った。