「ねぇ、私、聞いてない」


「?何を…ですか?」


「あんた……雪乃の、三浦くんへの気持ち」


「あ……」



つい、声が漏れる。

でもそれは、夏輝先輩への気持ちを言ってなかったことじゃなくて。


(初めて“雪乃”って呼び捨てにされた…)



みんな、名前でよんでも雪乃“ちゃん”だったのに、宮崎先輩は”雪乃”とよんでくれた。


なんか、嬉しい…。



「…ちょっと、ちゃんと言いなさいよ」



感動に浸っていると、それを容赦なく切り捨てる宮崎先輩。


私は少し恥ずかしいながらも、胸に大切に守っていたこの想いを、ゆっくりと、言葉にした。



「…夏輝先輩が、好きです」




そして、それを聞いた宮崎先輩が微笑むのと、「え…?」と、驚いたような声が聞こえたのは同時で。



「「……え?」」



その声に、私と宮崎先輩が驚きながら振り返ったその先には。



驚いた顔の夏輝先輩と、


その後ろには、ニヤニヤ笑う、安西兄妹がいた。