「……」


トントン、と、誰もいない階段をのんびりと下りていく。



下駄箱から一番遠い階段だから人通りが少ないんだよね。


それに教室を出たのも遅かったし。


静かな階段に自分の足音だけが響く。



…今日は帰ったらどうしようかな。


読みかけだった本でも読もうかな。


それとも、先に宿題すませるか。



…なんて考えながら、最後の一段を下りたとき、


静かな階段に、チリン、という軽快な音が響いた。