「……さむ…」


校門を出て結構な速さで歩いていると、冷たい風が容赦なく肌を刺す。


校舎が見えなくなってから、そのスピードを緩めた。



「今日も会わなかった……」



毎日、毎日。

誰よりも早く教室を出て。

誰よりも早く学校を出て。


夏輝先輩に会わないように試行錯誤の繰り返し。



別に会ったって何もない。


そんなの分かってる。



でも、私は必要以上に先輩を避けていた。



見かけたら逃げて。


見つかりそうになったら隠れて。


避けて避けて、避けまくった。



……なのに。