恋愛相談は校舎裏で

「あ…」と声にならない言葉をこぼしてから、少し早足でベンチへと歩く。


あと5歩でベンチにたどり着くとき、夏輝先輩が顔を上げた。



「…あ、雪乃ちゃん…」



先輩は驚いた表情で私を見ると、安心したように微笑んだ。



「よかった。来てくれないかと思った」


「いえ…そんな……」



言いかけた言葉を途中でやめる。


…そうだ。ちゃんと言わなきゃ……。



先輩はベンチから立ち上がって私の方へ歩いてくると、スッと真剣な表情へと変わった。