ごめんなさい、安西先輩。


私、嘘つきました。



「……っはぁ、はぁ…」



学校から出ても、まだ走り続ける。

普段運動しない分、息切れが激しい。



「……っは、……」



学校が見えなくなってから、立ち止まる。

冷たい風が当たって、耳が痛い。

走ったせいで、体が熱い。



ごめんなさい、安西先輩。


先輩として、なんて嘘です。


本当は……


『雪乃ちゃん』



夏輝先輩の声が、頭に響く。

胸が、トクンと音をたてる。



本当は、私……


「……ダメだ…」



本当は…恋愛対象として、


夏輝先輩が好きです。