「先輩、私、もう帰りますね」


「え?」



私は先輩の返事を待たないまま、鞄を持つと校舎裏から逃げるように走った。


後ろから私を呼ぶ声が聞こえたけど、そのまま走った。



“夏輝のこと、好きか?”


“それは先輩として?

 友達として?
 
 それとも


 恋愛対象とか?”



頭の中で、安西先輩の質問がぐるぐると回る。