「へぇ…夏輝がかいな……」


「…恭介うるさい」


口に手を添えて、未だににやにやと笑い続ける安西先輩。


…何がそんなに面白いんだ…。

それに、夏輝先輩、抱きしめてくれなくても大丈夫なんだけどな…。

これじゃあ安西先輩にまで誤解されるし。



「…あの、夏輝先輩。今は寒くないんで抱きしめてもらわなくても大丈夫です」



唯一動かせる肘から下の腕を動かして、夏輝先輩の手を軽くたたく。


すると夏輝先輩は「へ?」と声を出し、それを見た安西先輩は声をあげて笑い出した。