「あっ、雪乃ちゃん!」



先輩は私の名前を呼ぶと、一緒にいた人を置き去りにして、

走って近寄ってきた。



「“雪乃ちゃん”?」



隣にいた関西弁の人はきょとんとしながら私の方に向く。


……あ、目が合った。



目が合ったものの、どうすればいいかわからずに

ただ見つめたままでいると、その人はにかっと笑った。


制服の学年カラーと、夏輝先輩としゃべっていたことから

二年生で間違いないだろう。


とりあえず頭を下げておく。