きみ、ふわり。



「狼さん、私を食べちゃってください」

 腕の中から俺を見上げて紗恵がとんでもない事を口走り、そして悪戯っぽく微笑んだ。


 まじか。そうくるか。

 ならば、と「ガオー」なんて迫力皆無の無気力な雄叫びを申し訳程度に口にして、紗恵をベッドの上に押し倒した。

 赤ずきんはクスクスと愉しげに笑う。
 危機感などまるでなく、ご満悦のご様子。


 何、このやり取り、バカップルだ、恥ずかし過ぎる。



 けれどその後はいつもの手順で事を進めた。


 『女子早脱がし』は俺の得意技だ。

 がっつかず、性急さを見せず、極自然に。
 この三原則を守りつつ、かつ迅速に。

 これが可能な17歳男子は、世界中を探してもそうは居ないはず。