「あいつ誰?」
「2年の高見沢くん。知らない?
大好物は処女」
「ドラキュラみてぇ」
思わず口からでた言葉に、栗重は不快だと言わんばかりに露骨に眉を顰める。
というかさっきからこいつ、『処女、処女』って連呼しまくっているけど、それこそ女子が軽々しく口にしていい言葉か?
眉を顰めて蔑視すべきは、むしろ俺の方だし。
まぁそれも今はどうでもいいんだけどね。
何の思案もないまま、下校する生徒たちの緩い流れを早歩きで追い越しながら二人の背中を追った。
高見沢と紗恵の背後まで辿り着いた俺は、
「高見沢くん」
唐突に声を掛けた。
何の躊躇いもなかった。



