きみ、ふわり。



「紗恵が、何?」
 
 渋々だが話だけは聞いてやることにする。
 命に別状がなければ、もちろんスルーだ。
 ぶっちゃけ……もう関わりたくないってのが本音。


「いいから来て」

 苦しげは――違った、栗重はそう言って、俺の腕を乱暴に掴むとグイグイ引っ張りながら歩き始めた。


 俺の心が読まれたのかと、背筋がひんやりした。


「良くねぇわ!
 何があったのか、ちゃんと説明しろって」

 為すすべなく引き摺られていく無様な俺。
 それでも口だけで全力抵抗、屈してなるものか、栗重ごときに。



 どうやら西門の方へ向かっているらしい。
 俺たち3年の昇降口は東門側、西門側は1、2年だ。