「鏑木(カブラギ)先輩。 抱いてください」 体育館へ向かう途中の渡り廊下。 目の前に突然現れ、俺の前に立ち塞がった女は、俺を真っ直ぐ見詰めてそう言った。 一学期の始業式がもうすぐ始まる。 俺は、かなり危うかったけど、晴れて三年に進学。 桜の花びら舞い散る校庭。 本日は晴天なり。 ――――じゃなくて。 俺も相当驚いたけど…… そらまぁ、目ん玉飛び出る勢いだったし。 そして周りに居た友達も、通り過ぎていく生徒たちも、当然のごとく彼女の吃驚大胆発言に、頭ん中はクエスチョンマークだらけ。