きみ、ふわり。



「せん……ぱい?」

 遠慮がちに俺に掛けられた声に、ハッと我に返って紗恵を見た。

 頬をほんのり桃色に染めて、困ったように俺を見上げる上目使いが堪らなく可愛い。
 
 胸の奥に引っ掛かった違和感など、すぐにどうでも良くなった。



 ベッドの傍らへと移動し、上靴を蹴散らすように脱いで、勢い良くダイブした。

 仰向けに寝返って大の字になり、そろそろと戸惑いながらもついて来る紗恵に、

「カーテン閉めて」

 と、これから行うことを匂わすようなことを敢えて口にしてみる。


 予想通り、紗恵はその顔をカッと赤らめ、それでも素直に俺の言葉に従った。


 紗恵は本当に可愛いと思う。
 けど俺は彼女はいらない。

 一人の女としかセックスできないなんて、俺にはきっと耐えられない。