きみ、ふわり。



「私は変わったでしょ?
 変わったって言われるもん」

 心外だと言わんばかりに、口を小さく尖らせて栗重が言う。

 可愛くなったとでも自分で言いたいんだろうか?
 厚かましいなぁおい、メガネじゃなくなった『栗重メガネ』め。


「誰に?」

 意地悪心がムクムク湧いてきて聞いてやると「みんなにっ」と、栗重は膨れて言い返す。

「どこのみんな?」

 言って笑えば、更にプウと膨れた。
 とても三十路女には見えない。

 可愛い。
 不本意だけど、何だか悔しいけどそう思った。


「ねぇ瀬那くん、どうして同窓会来ないの?」

「どうしてって……
 会いたいやつには会いたい時に会うから」