きみ、ふわり。



「栗重っておせっかいだよな。
 なんか近所のオバチャンみてぇ」

 これ、今日初めて感じたことだけど、前々から思っていたかのように言ってみる。


「そうか?
 可愛いと思うけど?」

 悠斗の口からスルリとそんな言葉が出て来て、思わず目を見張った。


「は? 誰が?」

「誰がって……
 今、栗重の話してんじゃねぇの?」

 悠斗は至って真剣な顔、冗談とかではないらしい。

 さっき間近で見たばかりの栗重の顔を、俺は必死に思い出す。
 同じ空間に居るのだけど、わざわざ振り返って見るのも何となく躊躇われた。


 可愛い……かなぁ。



「ああ、瀬那、お前、栗重がメガネ取ったとこ見たことねぇんだろ?
 俺あるもんね」

 言って、悠斗は意味深な笑みを浮かべた。

 どことなく得意気な口調にも何だか無性にムカついて、「どうでもいいわ」と素っ気なく返した。