きみ、ふわり。



「すっげぇ可愛い子と一緒にいた」

 大嘘ブッこいてやると悠斗はすぐに食い付いた。
 「まじか」と椅子をカタッと鳴らして尻を少し浮かし、店内を見回す。

 標的を発見したらしい悠斗は、うわっ、と短く小さな声を漏らした。


 再び尻を椅子に着地させた悠斗は、薄い笑みを浮かべて何か物言いたげに俺を見る。
 やがて、

「瀬那くん、趣味いいねー」

 ボソリと嫌味を零してニンマリ笑った。


「さて、田所審査委員長の判定は?」

「だららららら…………だんっ!
 9.5点」

 長いボイスドラムロールの後、悠斗は答える。
 いちいち勿体つけやがって。

 でもちょっとウケた。


「それ10点満点?」

「もちろん100点満点」

「酷くね?」

「いいや、実に公平な評価である」

 悠斗はさも尤もらしく答えるが、一体何に対して公平なのか。