フリードリンクを注文して、速攻飲み物を取りに行く悠斗を尻目に、俺はトイレへ向かった。
『飲む前に出す』これ、俺のモットー。
用を足してからドリンクコーナーへ行くと、見知った女子を発見した。
栗重みなみ。
なんとなく気まずい。
同じクラスだから毎日顔を合わせている訳だけど、学校以外で会うのは多分、今日が初めてだ。
けど――
気まずいのは、そのせいじゃない。
哀しいことに、すぐに自覚した。
紗恵繋がりが苦しいのだ。
悠斗がまだドリンクコーナーでモタモタやっていてくれたら良かったのに、あのヤローは飲み食いに関することだと動きが俊敏になる。
振り返れば、もう既に席に戻っていて、妖しい真緑の液体をストローで吸引中だった。
ふぅと一つ小さく息を吐いてから意を決して歩を進め、氷の入ったグラスにオレンジジュースを注ぐ栗重の隣に立った。



