きみ、ふわり。



 どう反応して良いかわからず、じっと紗恵を見詰めた。

 紗恵は既に俺のことなんかは眼中になく、小花の根本を摘まんだ親指と人差し指を擦り合わせて、丸い黄色がクルクルと回るのを見て楽しんでいる。


 目が寄っていて可笑しい。
 無意識に頬を緩め、目も細めていた。

 横長に狭まった視界を彩る、黄色いエセたんぽぽと、その向こうにもう一輪この世で最も愛しい花。

 飽きることなどない、いつまでも――永遠に見詰めていたい、けどすぐに首がしんどくなって、俺は頭を再び芝の上に落とした。



 空は相も変わらず快晴。
 水色と白だけの鮮やかなツートーンに思わずぼーっと見入った。

 紗恵はこのまま俺の上で好きなだけ好きなようにやらせておこう、と思った。