きみ、ふわり。



 宝物を見付けた気分になった。

 きっと、誰かがソリにして遊んだ後、そのまま放置していったのだ。


 立ち上がって吸い寄せられるように茶色いそれに歩み寄り、身を二つに折って拾い上げた。

 振り返れば、紗恵は不思議そうにこちらを見詰めていた。

 俺は、手に取ったそれを頭横にかざして見せ、

「いいもん見付けた」

 言って、ニッと口角を上げて笑った。



 ダンボール紙一枚に前後に重なって二人乗り。

 堤防斜面を紗恵と一体化し、一陣の風となって勢い良く滑り降りる――
 ――はずだった。


「これ、ちっとも進まない!」

 俺の股の間の紗恵が腹立たしげに言った。